先生はめんどくさがり。


「譲くん。僕も君にはガッカリだ」


「お父さん!」





そして、マナミさんのご両親も怒ってお店を出て行ってしまった。



だけど…





「譲」





最後まで席にいた先生のお母さん。


静かに先生の名前を呼んで、立ち上がると私を見た。





「諦めないで」





私と先生の手を握って、そう言ってくれた。





「あなた、お名前は?」


「…恋です。江夏恋です」


「恋ちゃん。頑張るのよ」





壁はあまりに高すぎた。


だけど、先生のお母さんは味方でいてくれている。





「はい!」





ニコッと優しく笑ったその笑顔が、先生に似ていて、その笑顔を見れたことがなぜか嬉しくて。


結果は惨敗なのに、なぜか落ち込めなかった。

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