先生はめんどくさがり。
だけど、レストランを出ると私たちに残るのは、現実という2文字。
2人の車内、レストランに入る前の空気が嘘味だったみたいに、今は重くて苦しい。
「…先生、ごめんなさい」
「謝ることなんもねぇだろ」
「あんな風に言われて…頭まで下げてもらったのに…っ」
お父さんの失望の目が先生に向けられた時、少しだけ後悔した。
私が諦めてればって。
「俺、親父に逆らったの今日が初めて」
「え…?」
「子供の頃からすげえ怖くて、反抗しても無駄なのわかってたから。だから、あんな怒鳴られたのも初めて」
「先生…」
ふぅ…って息を吐いた先生のハンドルを握る手が震えてて。
ダメだ。
涙が堪えられない。
「ずるいよ…先生は。かっこよすぎるの…」