先生はめんどくさがり。
次の日、私はマナミさんに呼び出された。
何を言われるのかはわかってたけど、やっぱりちょっと怖い。
カフェで向かい合わせで座ると、いきなり頭を下げたマナミさん。
「え、ちょっ、え…?」
「譲さんを諦めてください…お願いします…」
「マナミさん…」
「本当に恥ずかしい話なんだけど、生まれてから今まで、ずっと両親に頼って生きてきたの。譲さんと結婚しないと縁を切るって言われて…」
「そんな…」
「就職先もお父さんの会社で…私の人生がかかってるんです…お願い…」
そう言うとマナミさんは、もう一度頭を下げた。
その時、いつかの先生の言葉を思い出す。
‘‘ 誰一人傷付けないで生きていける人間なんていねーよ ’’
…本当に、そうなのかもしれない。