先生はめんどくさがり。


「どっか行くの?」


「うん。女子会だって」


「俺も今からまた会社戻んなきゃいけねーの」





そう言って、書斎に入り何かの資料を探している。



だよね。


忙しいもん。





「忙しい…?」


「んー。そうだな」





ペラペラっとファイルをめくる先生の後ろ姿を、扉の横から見る。


「あった」と、束になった用紙を持ち上げると私の方へ向かってくる。





「あんま飲みすぎんなよ」


「うん」





頭にポンと手を置いてくれるのは、少しの優しさ。


だから寂しくなんかない。





「頑張ってね」


「ん」





玄関に向かっていく先生にそう言うと、先生は一度履いた靴を脱いでまたこっちにやって来た。

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