先生はめんどくさがり。
窓の方を向いている顔は、先生に向けることもない。
目を瞑って、先生の声だけを感じた。
「自分から呼び出しといて、無視とかいい度胸してんじゃん」
近づいてくる声。
そんな声に、飛びつきそうになる。
「……寝てねーんだろ」
私のすぐ横で聞こえるその声は、いつもみたいに冷たい。
「恋…」
込み上げてくる涙を必死に抑えていると、先生の甘い声がふってきて。
そのすぐあとには、唇にも甘さを感じた。
「……先生って、ズルいね…」
唇が離れて、前にいる先生の影の間から夕日が差し込んできた時。
私は小さくそう言った。