先生はめんどくさがり。
〜伊藤先生side〜
体育準備室から戻ってきた俺の後輩、白浜譲。
たまたま通りかかった準備室前で、さっきの会話は、全部聞いてしまった。
「何でお前、あんな言い方しかできないの」
「…うるさいっすよ」
そう弱々しく言葉を吐くこいつが、らしくない。
「自分のせいでイジメにあったから少し離れようって、どうして言えねーの?」
こいつは根はすっげえ優しいんだ。
だけど、真っ直ぐすぎてやり方を間違えることもある。
「あんなの一時的な感情なんだから。諦めるのは早い方がいいでしょ」
「もうお前の時間をあいつに使ってる時点で、気になってんだよ」
俺も同じだったから、譲のその思いはわかる。