先生はめんどくさがり。



〜伊藤先生side〜



体育準備室から戻ってきた俺の後輩、白浜譲。


たまたま通りかかった準備室前で、さっきの会話は、全部聞いてしまった。





「何でお前、あんな言い方しかできないの」


「…うるさいっすよ」





そう弱々しく言葉を吐くこいつが、らしくない。





「自分のせいでイジメにあったから少し離れようって、どうして言えねーの?」





こいつは根はすっげえ優しいんだ。


だけど、真っ直ぐすぎてやり方を間違えることもある。





「あんなの一時的な感情なんだから。諦めるのは早い方がいいでしょ」


「もうお前の時間をあいつに使ってる時点で、気になってんだよ」





俺も同じだったから、譲のその思いはわかる。

< 51 / 284 >

この作品をシェア

pagetop