先生はめんどくさがり。
「恋がんばれよ」
「恋ちゃん頑張れ!」
「1番で帰ってこいよ!」
啓太の言葉を最初に、みんなから応援の言葉をもらう。
「あったりまえじゃん!」
…そうなんです。
私が第1走者目なんです。
「位置について」
トラックに入り、そう言う先生の言葉で、線ギリギリに体勢を構える。
「用意」
期待を裏切らないように、周りの音を一斉に遮断した。
パンっ!!
そしてピストルの音を合図に、勢いよくスタートを切った。
数メートル走り出してから聞こえてくる周りの歓声。
前には誰もいない。
つまり、私が1位を走っているということだ。