先生はめんどくさがり。
みんなは座っているのに、私たちだけ体育館の後ろに立って、啓太と舞台見てコソコソ話す。
よりによって生徒指導の先生が担任なんて、ありえない。
「えー、それでは先生紹介に移ります」
啓太とベラベラ喋っていたけど、その言葉で、体育館がザワザワしたから、私たちは止まった。
…伊藤先生のことだ。
みんな、どう思っているんだろう。
「今年度から復帰になりました。伊藤先生です」
舞台に上がった先生を見て、ニヤニヤと騒ぐ生徒もいれば、コソコソ話す生徒もいる。
「その節は本当に申し訳ございませんでした。また1からやり直すので、よらしくお願いします」
だけど伊藤先生がそう挨拶をしたあと、体育館はたくさんの拍手で包まれた。
その音は、先生の信頼を意味する大きさ。