先生はめんどくさがり。
「伊藤先生っていい人だよね」
「だな。俺先生嫌いだけど、伊藤は嫌いじゃないかも」
「なにそれ…素直に好きって言えば…」
素直じゃない啓太にそう言っていたけど。
…言っていたけど……
「恋?」
隣で私を呼ぶ啓太を無視するくらい、目が止まった。
一瞬、時間が止まったのかと思ったくらい。
「今年からこの学校でお世話になります。白浜 譲(シラハマ ジョウ)です」
その人の声以外、私の周りが遮断する。
本当に、時が止まるって、こういうこと?
周りは伊藤先生以上にザワつき、その人の価値を表す。
何だっけ…白浜、先生…?