次期社長と訳あり偽装恋愛
偽装恋愛、解消します

週が開けた月曜日。
玲奈と昼ご飯を一緒に食べる約束をしていた。
社員食堂に先に着き、私は中華定食を注文して席に座っていた。

すぐに玲奈も唐揚げ定食がのったトレイを手に席までやってきた来て開口一番、謝罪してきた。

「梨音、土曜はホントにごめんね」

「もういいよ。終わったことだし」

「よくないよ!能勢さんは酷すぎる」

玲奈は憤慨した様子で唐揚げを頬張る。

居酒屋で私や立花さんとやり取りした後、能勢さんは玲奈たちの元に行き、私の悪口を言って先に帰ったと教えてくれた。
多分、玲奈たちに言っただけじゃ気が収まらなくて、わざわざ私たちの後を追いかけて暴言を吐いたんだろう。

どんなことを言ったのか玲奈は言葉を濁したけど、尻軽とか私に向けて放ったことと同じような内容を好き勝手に言っている姿が目に浮かんだ。

「私が無理矢理、梨音を誘ってしまったから……」

玲奈に誘われて合コンに行き、結果能勢さんに絡まれたのは事実。
だけど、暴言を吐いたのは能勢さんで玲奈が悪い訳じゃないし、責任を感じることはない。

「玲奈が気にすることじゃないよ」

「でも……」

玲奈は優しい子だから、いつまでも引きずりそうだ。

「だから大丈夫だって言ってるでしょ。もう、能勢さんの話は終わり!」

私は明るい声を出して強引に話を終わらせた。
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