次期社長と訳あり偽装恋愛
ここ一年、玲奈に彼氏はいない。
だから今回の合コンには気合いをいれていたのに、あんなことになってしまった。
そういえば、玲奈の前の彼氏の二股が発覚して別れた時に私と宮沢で慰め会をしたことがあった。
酔っ払った玲奈の介抱を宮沢がしていて、愚痴も全て受け止めて『そんな最低なヤツは早く忘れろよ』って言っていたのを思い出す。
何だかんだ言いながらも宮沢は玲奈の面倒を見ていた気がする。
微妙に私と玲奈の扱いが違うなとは思っていた。
いつも私には適当感満載だった。
ただの同期の扱いと、恋心を秘めた人の扱いが違うのは当たり前か。
玲奈も友達想いの真っ直ぐないい子だ。
宮沢もいいやつだし、何だかんだいって玲奈とはお似合いかもしれない。
「そうか……俺もそろそろ覚悟決めないとな」
宮沢はボソリと呟く。
「それってもしかして」
「あぁ。今までは同期としての関係を崩したくなかったから我慢してたけど、何もしないまま他のヤツに奪われるなんて御免だからな」
そう言った宮沢の目は、強い決意の光が宿っている感じがした。
「ねぇ、いつから玲奈のことが好きだったの?」
「バカ河野!デカイ声を出すなよ」
宮沢は周りをキョロキョロと見回す。