次期社長と訳あり偽装恋愛
「ごめん、ごめん。ちょっと考え事してた」
謝罪し肩を竦めた。
今日は舞と『ダークムーン』に来ていた。
舞が深刻な感じで『話がある』といって連絡してきたのは木曜日だった。
土曜の夜ならお互いに時間が作れるので、会う約束をした。
以前、舞に好きな人が出来たという話を聞いていたので、きっとそのことなのかな?とうっすら思っているんだけど。
「で、今日はどうしたの?」
「あのね、この前……好きな人が出来たって言ってたでしょ」
「うん」
「それでね、その人と付き合うことになったの」
頬を赤らめ恥ずかしそうに言う舞がすごく綺麗に見えた。
いや、実際も綺麗なんだけどね。
それより、親友のおめでたい話に私まで嬉しくなる。
「そっか。おめでとう!相手はどんな人が聞いてもいい?」
「同じ会社で働いている人で……名前は槙田昴さんて言うの」
舞は一度躊躇した後、静かにその名前を言った。
え、今なんて言った?
最初は聞き間違いかと思った。
でも、確かに舞はマキタスバルと言った。