次期社長と訳あり偽装恋愛

私は昴くんのお陰で、第一希望の大学に入学することが出来たんだ。
合格したことを報告しに行った時に告白したけど、昴くんの返事は―――。

『ごめん、梨音のこと恋愛対象として見ていなかった』

これを言われた時はショックでヘコんだ。
だけど、私は諦めることが出来なかった。
今までは恋愛対象として見ていなかったなら、これから見てもらえればいいんだから。

『だったら、今から私をそう言う対象として見て』

『あー、でも梨音は未成年だからな』

『じゃあ、二十歳になったらそういう対象で見てくれるの?』

『んー、考えておくよ』

昴くんはそう言って曖昧に笑った。

私と昴くんはこんなやり取りをした。
だから、私を恋愛対象として見てもらえる二十歳の誕生日を心待ちにしていたんだ。
そして今日、めでたく二十歳になった。
私の頭の中は期待でいっぱいだった。

お兄ちゃんと昴くんはこのバーによく来ていることは知っていた。
もしかしたら今日も……という勘が働き私の足はバーに向かっていた。

そしたら、予感的中!
お兄ちゃんと一緒に昴くんもバーにいた。
私の誕生日当日に会えるなんて天が味方してくれたんだと思った。
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