次期社長と訳あり偽装恋愛
まさかの告白

「何か飲む?」

「いえ、大丈夫です」

さっきまでお酒を飲んでいたし、わざわざ立花さんの手を煩わせるのも申し訳ないなと思った。

あの後、立ち話もあれだからと立花さんの部屋に行くことになった。
リビングに通され、私はソファに座りソワソワしていた。

リビングの家具はモノトーンで揃えられており、余計な物は置かれていない。
私と同じマンションだけど、この部屋は間取りも違うし広い。

「隣、座ってもいい?」

「どうぞ」

って、自分の部屋じゃないのに何言ってるんだか。
立花さんは一人分の空間を空けて座った。

私に話って何だろう。
緊張感が走る。

「あのさ、さっきまでマキたちと会ってたんだよな」

マキ?
どういう事?
マキって立花さんの想い人なんじゃないの?
突然言われた言葉に頭の中が混乱している。

さっきまで……?
私は舞と昴くんと朔ちゃんしか会ってないんだけど。
立花さんは誰のことを言っているんだろう。
いくら考えても分からないので、勇気を出して聞いてみることにした。

「あの、マキって誰のことですか?」

「あぁ、ごめん。マキっていうのは槙田昴のことだよ」

「えっ?」

まさかの人物の名前に私は絶句してしまった。
“マキ”イコール昴くん?

私はてっきり女の人だと思っていた。
ということは、私は思い切り勘違いをしていたことになる。
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