次期社長と訳あり偽装恋愛

「ねぇ、いつでもいいんだけど飲みに行かない?」

「それは別にいいけど。どうしたの?」

玲奈にいつもの元気がないので違和感を覚える。
なにかあったんだろうか。

「特にこれといった理由はないけど、合コンはコリゴリだから普通に飲みたくなって」

「そっか。その飲み会は宮沢とか他の同期も呼ぶ?」

「うーん、宮沢だけでいいわ。三人で飲もう」

「了解。ということで、いいよね?」

そう言って宮沢を見ると小さくため息をつく。

「いいよ。どうせ愚痴を聞く係りだろ」

やれやれ、といった感じで頷いた。
そして「お先に」と言って昼ご飯を食べ終わった宮沢は席を立った。


食事中、やっぱり玲奈の様子がおかしかった。
いつもの元気はないし、表情も暗かった。

合コンはコリゴリと言っていたので、干場さんや能勢さんの言動が玲奈をこんな風にさせたのかもしれない。
私絡みということもあり、申し訳ない気持ちになる。
だけど、玲奈にとってはあの人の本性が分かってよかったと思う。

そう考えたら、余計に宮沢をプッシュしたくなる。
宮沢も愚痴を聞く係りとか言ってうんざりな感じを装っていたけど、玲奈のことが心配だっていう表情だった。
宮沢の女性関係はクリアだし仕事も出来る。
何より玲奈のことを大切に想っている。
そこが一番大事なポイントだ。
< 150 / 212 >

この作品をシェア

pagetop