次期社長と訳あり偽装恋愛

「じゃあ善は急げってことで、今週の金曜の夜とかどう?」

思い立ったが吉日。

「マジか……。了解、店を予約しておくから中村には河野から伝えといて」

「分かった」

私は早速スマホを操作した。
メッセージを送ると、すぐに既読になった。

《その日は何も予定ないから大丈夫だよ!飲み放題でヨロシク》

玲奈からの返事を宮沢に伝えると、アイツらしいなと苦笑いしていた。

「飲み放題のお店か……あとで調べとくわ」

「頑張ってね」

「おう」

そう言った宮沢の顔は不覚にもイケメンに見えた。
話がまとまったところで昼休憩が終わった。

十四時からの会議に向けて資料の作成を始める。
午前中にある程度は出来ていたので、あとは間違いがないかチェックするだけ。
確認が終わると、プリントアウトして人数分コピーしホッチキスで一部ずつまとめていく。
それが終わると、専用のトレイに資料を入れて会議室まで運んだ。

私のいる企画部は三階、今回打ち合わせがある会議室は四階。
運動がてらエレベーターではなく階段を使った。
軽快な足取りで階段を上り、第二会議室のドアをノックする。
ドアを開けるとまだ誰も来ていない。
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