次期社長と訳あり偽装恋愛

「まぁ……」

ポリポリと照れくさそうに頬をかく。
それって……。

「付き合うことになったの?やったじゃん!」

「やめろよ。マジで痛いって」

嬉しさのあまりバシバシと宮沢の腕を叩くと、痛そうにそこを擦った。
そうか、付き合ってるんだ!
というか、玲奈ったら私に報告がないのはどうしてよー。
そこは一番に報告してくれないと!

「まぁ、お前にも助けてもらったし、お礼がてら送ってやるよ」

「その気遣いは必要ないよ」

突然、立花さんの声が聞こえ鼓動が跳ねる。

「立花課長、二次会に行かれなかったんですか?」

「あぁ。ちょっと今日は疲れたからね。だから、俺が河野さんを送って行くから宮沢くんは帰っても大丈夫だよ」

「いえ、そういう訳には……」

「河野さんとは同じ場所に帰るから」

立花さんは宮沢の言葉を遮った。

「えっ、同じ場所ってどういうことですか?」

宮沢は怪訝そうな表情を浮かべる。

「河野さんとは階は違うけど同じマンションに住んでいるんだ。だから、気にしなくてもいい」

「でも……」

そう言って私の方を見る。
これって私に決定権を委ねる感じ?

「あ、お言葉に甘えて立花課長に送ってもらうことにするから、宮沢ありがとね」

「そう言うことならお願いします」

私の言葉を聞いた宮沢が納得したように、立花課長に頭を下げる。

「じゃ、帰ろうか。宮沢くん、お疲れさま」

立花さんに促され、一緒にタクシーに乗り込んだ。
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