次期社長と訳あり偽装恋愛
気がついたら着ていた服が脱がされ、下着も取り去られていた。
細身だけど適度な筋肉のついた立花さんの身体を見て心臓がバクリと跳ねた。
愛撫によって与えられる強烈な刺激に快感が膨れ上がる。
自分の身体じゃないような感覚にどうしていいか分からなくなり、シーツをギュッと握った。
その手を立花さんの手が大丈夫だよというように優しく包む。
それだけで私は安心感を覚え、立花さんに身を任せる覚悟ができた。
「好きだよ」
甘い言葉を囁かれ、ゆっくりと熱を受け止める。
初めて知る痛みでこぼれ落ちる涙に立花さんは唇を寄せた。
「……っ、大丈夫?」
「大丈夫、です」
痛みはあるけどこれは幸せな痛みで、立花さんとひとつになれているという充足感があった。
立花さんは動くことなく、痛みを堪えようとする私に労るような口づけをする。
「大丈夫なら動いてもいい?」
はい、と返事をしたらぐいと腰が打ち付けられた。
「んっ、あぁ……」
最初は痛みしか感じなかったのにだんだん快感を拾い始め、自分の声ではないような甘い吐息を漏らしていた。
「梨音ちゃん、名前で呼んで」
艶のある声が鼓膜を揺らす。
立花さんの名前……。
「し、翔真さん」
震える声でそう呼べば、立花さんは優しく笑って額にキスを落とした。
私は立花さんの広い背中に手を回し、お互いの想いを確かめ合った。