次期社長と訳あり偽装恋愛
驚きの真相とプロポーズ
立花さんに別れを告げてから一ヶ月が過ぎた。
時が経てば、少しはこの胸の痛みも和らぐかと思っていた。
でも全然そんなことはなく、いまだに心にぽっかり穴が開いたみたいだ。
偽装恋愛を解消した時とは訳が違う。
会社で立花さんを見かけるたびに胸が痛む。
自分から言い出したことなんだから、私が傷つく資格はないだろうと何度も言い聞かす。
別れた直後は会社を辞めて、どこか立花さんのいないところに行ってしまおうかなんて考えた。
だけど、私が辞めたことを知った立花さんが自分を責めてしまうんじゃ……という考えが頭をよぎった。
それだけはダメだという思いから踏みとどまっている。
立花さんの縁談、進んでいるんだろうか。
「……の、河野!」
「へ?」
「お前、大丈夫か?」
隣りの席の宮沢が心配そうに聞いてくる。
「何が?」
「何がって、自分のパソコンの画面を見て見ろよ」
そう言われ、画面を見て驚愕した。
打ち込んだ文章の途中から画面には「t」の文字が並んでいた。