次期社長と訳あり偽装恋愛
「言わずに後悔したことは何年経っても自分の心に残ると思うんだ。こうしておけばよかったとか、あれこれ考えて何もしなかった時の方が間違いなく悔いが残る。自分の気持ちを伝えるってことは、どんな形であれ答えが出るだろ?その方が気持ち的に前を向けると思うんだ。まぁ、これは俺の持論だけど」
立花さんの言葉を聞いて目からうろこというか、そういう考えもあるんだと気付かされた。
それと同時に昔のことが頭を過った。
私は高校時代、憧れというか気になっている人がいた。
でも、その時は気持を伝えることが出来なくて後悔したから次の恋は自分の気持ちをぶつけようと誓った。
そして五年前、私は好きになった人に告白したけど振られてしまった。
よくよく考えたら、気持ちを伝えたことだけは後悔はしていない。
振られるのは怖いけど、自分の気持ちに正直になることは大切なことなんだ。
立花さんの言葉が胸にストンと落ちてきた。
「ありがとうございます。話を聞いてもらったらスッキリしました」
「俺は何もしてないけどね」
「いえ、そんなことないです。立花さんの言葉を聞いてまた恋がしてみたいなって思えてきました」
私の言葉に立花さんが目を見開いた。
好きな人を想っている時は毎日が楽しかった。
その人のことを見るだけで嬉しかったし。
恋をしている時は、何もかもが輝いていた気がする。