次期社長と訳あり偽装恋愛

六月の後半、今日は梅雨の合間の貴重な晴れの日。
オフィスから外に出ると身体いっぱいに太陽の光を浴びる。
やっぱり天気がいいと気持ちも明るくなる。
私はじめじめした雨より、晴れの方が好きだ。

私が勤務しているのは文具メーカーの『ラブイット』。
文具、事務用品などの開発、製造、販売などを手掛けている。
自社ブランドを展開したり、海外にも力を入れ着実に実績を伸ばしている会社だ。

河野梨音、二十五歳。
母親ゆずりのパッチリ二重は自慢だけど、少し鼻が低いのが残念ポイントだ。
肩までの長さのモカブラウンの髪は毛先だけパーマをあてている。

私は商品企画部で働いて三年目、まだまだ雑用も多いけど日々、自分なりに頑張っている。

会社の敷地内には花壇があり、綺麗に手入れされている。
季節の花が植えられ、雑草はこまめに取り除かれていてちゃんと管理しているんだろうなというのがうかがえる。

六階建てのオフィスビルから倉庫までの道のり、花壇に咲いている花を見ながら歩いていると癒やされる。
いくつかベンチも設置されていて、そこで昼ご飯を食べる人もチラホラいる。

倉庫に着き、ドアを開けた。
ここは商品の在庫が保管されていて、すごく広い。
倉庫内は配送の準備などでせわしなく人が動いているし機械も稼働中だ。

倉庫に入りキョロキョロと周りを見回すと、段ボールを手に持っている商品管理部の比嘉さんを見つけた。
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