次期社長と訳あり偽装恋愛

そんな経緯で、私が考えたキャラがいろいろな文房具に描かれることになった。
その点では、きっかけを与えてくれた宮沢には感謝している。

「サンプルが出来上がったよ」

高柳課長が段ボールを会議室のテーブルの上に置いた。

完成したオリジナルキャラ第二弾、ちーすけの文房具のサンプル。
ちーすけ単体のもあるけど、もふりんとコラボした文房具も作られることになった。

プロジェクトメンバーが段ボールの周りに集まってくる。

「お、いい出来じゃないか」

高柳課長が梱包材を外すと、ちーすけが描かれた文房具が出てきた。

「そうですね。色もいい感じですし」

デザイナーの野中さんがデザインや色をチェックする。

「うわ、これも可愛いね」

広報部の水谷志保さんがクリアファイルを手に取った。
志保さんは、私より一歳上で玲奈の直属の先輩にあたる。
セミロングの黒髪を緩く巻いていて、柔らかな雰囲気の人だ。

ノート、下敷き、クリアファイルなどの文房具にちーすけが描かれている。
あと、私が一番初めに考えたちーすけの物差しもあった。
感動して泣きそうだ。

私はシャーペンを手に取った。
先の部分にちーすけの人形がついている。
大き過ぎず、小さ過ぎずでちょうどいい大きさだ。
カチカチと芯を出して白い紙に試し書きをしてみた。
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