次期社長と訳あり偽装恋愛

「ならいいけど。そうだ、ちーすけの設定面白かったよ。大阪から東京に引っ越ししてきたとか細かい部分まで考えられていて、よく出来てたと思うよ」

前回の打ち合わせの時に、ちーすけのバックグラウンドを考えるように言われていた。

もふりんにもキャラ設定があるので、ちーすけの生みの親の私に考えて欲しいと頼まれた。
性格とかによってキャラの表情も変わってくるので、デザイナーの大野さんと相談しながら設定を考えた。

身長やら家族構成、好きな食べ物とか、もふりんの設定を元にちーすけのプロフィールを作成した。
そして、サンプルが出来上がったんだ。

「本当ですか?ありがとうございます」

「売り上げ次第では今後の展開も広がるから、頑張って営業するよ」

笑顔で言われ、ドキドキしてしまう。

「よろしくお願いします」

私は勢いよく頭を下げると、立花さんは「じゃあ」と言って会議室を出ていった。

その後ろ姿を見送り、小さく息をはいた。
立花さんと仕事で顔を合わせることはあっても、会社ではプライベートな話は一切しない。
当たり前だけど。

例の件は私からの返事待ちだから立花さんからは何も言ってこない。
もしかして、忘れてるかも?なんて自分に都合のいいように考えてしまう。
だけど、このままスルーという訳にはいかない。
早く返事をしなきゃとは思うけど、いまだに決断出来ないでいた。
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