次期社長と訳あり偽装恋愛
え、早いんだけど!
今の私はノーメイクだし、髪の毛もボサボサ。
部屋だって片付けていないのに……。
それでも、このまま立花さんを待たせるわけにもいかないので玄関のドアを開けた。
立花さんはドラッグストアで購入したであろうビニール袋を手に私の部屋にやって来た。
この短時間で買い物は出来ないだろうから、仕事終わりに買ってくれていたんだろう。
来てすぐに私の額を触り、熱があるのを確認したら、ビニール袋を漁り冷えピタを出すと速攻で貼ってくれた。
そのビニール袋の中にはプリンやゼリー、スポーツ飲料などたくさんの物が入っていた。
「キッチンを使わしてもらうから河野さんはあっちでおとなしくしといて」
そう言ってベッドを置いている部屋を指差すので、おとなしくベッドに寝転んだ。
キッチンからガチャガチャ音がしてるのが気になる。
さっき、ビニール袋からタッパーを出すのが見えたけど、何が入っていたんだろう。
しばらくの間、ボーッと天井を見つめていたらドアをノックする音が聞こえた。
「河野さん、寝てる?」
立花さんがお盆を手に部屋に入ってきた。
ベッドのサイドテーブルの上にお盆を置いた。
私が起き上がろうとしたら身体を支えるように手を添えてくれた。