次期社長と訳あり偽装恋愛
目を覚まして何気なく横を見ると、そこには驚きの光景があった。
ラグに座ったままベッドに頭を預けて眠っている立花さんの姿があった。
イケメンは寝ていても顔が整っているな……ってちがーう!
これはどういうこと?
起き上がろうとモゾモゾ動いていたら、立花さんが身じろぎして目を開けた。
「ん……」
起き上がった私と立花さんの目がバチッと合った。
「おはよう。熱は下がったかな」
立花さんは私の額に貼っていたカピカピの冷えピタをゆっくりと剥がすと、額をくっ付けてきた。
「まだ、少しあるかも」
立花さんはリビングのテーブルの上に置いていた体温計を取りに行った。
私は咄嗟のことに身動きすら出来なかった。
「はい、測ってみて」
差し出された体温計を受け取って脇に挟んだ。
ピピッと音がし、取り出してみたら37.4。
「37.4か。まだ熱があるから今日は休みだな」
当たり前のように私の世話をしてくれる立花さん。
今もスポーツ飲料のキャップを開けてくれる。
いやいや、そんなことより気になることがあった。
「あの、もしかして昨日の夜から帰ってないんですか?」
時計を確認したら朝の六時過ぎ。
ずっとそばにいてくれたんだろうか。