次期社長と訳あり偽装恋愛

立花さんから仕事終わりに『体調はどう?』と連絡があった。
私のことを気にかけてくれることが嬉しくて胸がいっぱいになる。

熱が下がったことを伝えると、晩ご飯を一緒に食べようということになった。
胃に優しいものがいいと思うから、うどんを買ってくると言って立花さんは電話を切った。

そして、十九時過ぎにスーパーのビニール袋を手に立花さんは私の部屋に来た。

「熱が下がってよかった」

立花さんがネクタイを緩めながら言い、私はその仕草にドキドキしてしまう。
仕事終わりに買い物をして、直接私の部屋に来てくれたんだ。

ビニール袋からうどん、玉子、ネギ、白菜、もやし、生姜、かまぼこなどたくさをの食材をテーブルの上に出す。

「うどんの中に何を入れるのかよく分からなくて、ネットで調べて買ってきたんだ」

「こんなにたくさんありがとうございます」

「河野さんはまだ病み上がりだから俺が作るよ」

料理する気満々で手を洗いながら言う。
昨日から、何から何までやってもらっている。

病み上がりとはいえ熱も下がったし、料理ぐらいできる。
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