次期社長と訳あり偽装恋愛
私が渋っている様子を見て玲奈は謝ってきた。
「ホントにごめんね。だけど、この合コンだけはキャンセルはしたくなかったの。会費は私が出すから。お願い」
拝むように必死に頼み込んできた。
そういえば、玲奈は近々合コンがあると話していた。
その時に気になっている人がいると言っていて、合コンをすごく楽しみにしていたからこんなに必死なんだろう。
そんな玲奈を見て、私は腹をくくった。
「本当に会費は払わなくてもいい?」
私がそう言った瞬間、玲奈はパッと表情を明るくする。
「大丈夫!他の子にもフォローしてもらうし、梨音は飲んで食べててくれるだけでいいから」
「それならいいけど……」
「ホント?ありがとう」
玲奈はテンション高く抱きついてきた。
「もうみんな集まってるんだ。女子はあと二人いるんだけど、私の大学時代の友達で眼鏡の子が花田美紀、髪の毛がショートの子が尾崎綾子。私が梨音の隣に座るから安心して。じゃ、入ろう」
合コンは初めてだけど、私は人数合わせだし、ただでご飯が食べれるし、流れに身を任せていたらなんとかなるかな。
あっ、こういうのって立花さんに連絡するべき?
偽装彼氏だけど……そんなことを考えていたら玲奈に押されるように居酒屋に入った。