次期社長と訳あり偽装恋愛

「だって、ここに来た時に買い物袋をぶら下げてただろ。最初から合コンに来るはずだったら、そんなの持ってこないじゃん」

私の荷物を指差した。
場違いなのは痛感している。

「そう、ですよね。なんかすみません」

「謝ることなんてないよ。俺的には可愛い子が来てくれてラッキーって思ったけどね」

笑顔で言われ、反応に困る。
こういうのに免疫がないので、私としては戸惑うばかりだ。

はぁ、早く帰りたい。
私の頭の中はそれしか考えられなかった。
愛想笑いも疲れてきて、静かに席を立ちレストルームへ足を向けた。

「梨音、ホントにごめんね。合コン初めてなのに」

私の後を追って来た玲奈が申し訳なさそうに謝罪する。

「私だけ浮いてる感じがするよね。玲奈に迷惑かけてない?」

「全然そんなことないよ。むしろ私は助かってるし」

「よかった。それより、もうそろそろ帰ってもいいかな?」

みんなそれぞれ盛り上がってたし、私ひとり抜けても全く問題はなさそうだけど、確認だけはしておかないと。

「うん、あの雰囲気なら大丈夫だよ。みんなに梨音は用事があるから先に帰るって伝えるね」

「そうしてくれると助かる」

二人で部屋に戻ると、玲奈はさっそくみんなに伝えてくれた。
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