冬に咲いた春、僕は無くならない恋に堕ちる
中学校。

青春が始まる。


キラキラした思い出。


────でも、私の青春は、最低で最悪な形で始まった。


「ウザいんだけど」

同じクラスの女の子。

面と向かっては言わないけど、私に聞こえるように言ってくる。

私の努力は、それだけでは足りなかったみたい。
たぶん、その時私は、その場に立っているだけで精一杯で、とても歩けなんてしないから...

ただ、ただ、無意味で価値のないような日々を淡々とすぎていくのを待っていた。



大体が、小学校からの持ち上がりのこの中学も、私にとっては天と地ほどの違いだった。


それは、言うまでもなくエスカレートしていった。


可愛い?そんなもの持って生まれたものじゃない。

私が何をしたっていうの?

好きな人が私を好き?

私が媚を売った?

身に覚えのない噂ばかりで、私の周りからだんだんと人が居なくなった。

そして、初めて私は「孤独」を感じた。

話が聞こえないほどの喋り声は、全て悪口に聞こえる。
私にはみんな興味なんて無いんだ、大丈夫、大丈夫、大丈夫。

いつの間にか心の中で喋ることが多くなった。

大丈夫、が口癖になった。

心の中の口癖は、外で言うことは無かった。


喋らない日が続いた。

1日中、誰とも話さなくなった。

無表情になった。

休み時間、トイレに行くようになった。

そこで泣くようになった。

マスクをするようになった。

出来るだけ、出来るだけ、顔を隠すようになった。


毎日のように通わないといけない学校は、私の息苦しい場所となり、「通わなければいけない場所」となった。





高校は、勉強を頑張って同じ中学の子が来ない所にした。ここからやり直そうと、私の唯一の希望となったのだ。

男の子とは、距離を置いて、女の子と仲良くした。

その時、知り合ったのが、采羽と莉央。
ほんとにこの2人で良かった。
采羽は、甘えん坊で可愛くて、莉央は大人っぽくてサバサバしてる。
2人とも美人さんだ。

2人と出会って私は、「笑顔」を取り戻していった。

愛想笑いじゃない本当の「笑顔」。



────あの時から4年と半年。

秋は過ぎて、冬になった。


窓から入る光も段々と眩しくなって、カーテンを閉めるようになった。


時間が過ぎるのが、前より早くなった。

そして、それが悲しいと思えるようになった。

それが、確かに前を向いてる証拠なんだって自分で思うんだ。

ちょっとづつでも変わりたいって。


冬風は、肌が凍るように寒い。
この日、教室の窓は開いていて、窓側の席だったからずっと風に吹かれていた。

たぶん、寒いと思った時に閉めといたら良かった。

私は、熱を出し、友達に送られ、もうろうとした意識の中保健室に送られていた。
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