冬に咲いた春、僕は無くならない恋に堕ちる
最近、温度の寒暖が激しいせいか。

熱は37.4℃と微熱だった。

彼女と一緒に来た友達は、保健委員だったらしい。

どうりで何度も来ていたわけだ。


一応、ベットに寝かせて今は眠っている。


当然、僕は気が気ではないわけで。


彼女を諦めると決めたが、今回は特別だ。

生徒が熱を出しては心配もする。

そう、生徒だから。


こんなおじさんに想われても気持ちが悪いだけだ。

そんな事で彼女を傷つけたくはなかった。


窓の外にふと目をやる。

今は、3時間目の最中。

今日は木の隙間から、短距離走をやっている姿が見える。

太陽はもう真上を通らない。

段々と影は長くなる。

黄金色づいた日が校庭を照らし、木の葉を照らした。

眩しく反射する光に、僕は、目を伏せてしまいたくなった。



少し空いた窓も、あの日と何も変わらない。

はずで...。



何か違うとするならば、校庭にいる人物と、保健室にいる人物。

そして、僕の心の問題なのかもしれない。

あの日より、彼女が僕の近くに居るだけで、胸が苦しくなるのは何かの病気であって欲しい。

意識するだけで、鼓動が早く感じるのを彼女からもらった風邪ということにしてしまいたい。


締め切ったカーテンの先には、彼女がいる。

彼女のことになると、本当に変態みたいになってしまう自分が嫌だった、嫌いだった。

呼吸をする音でさえ、無防備に眠る寝顔でさえ、これを誰にも聞かせたくないと言っている。

心が、どうしようもなく。

馬鹿げてると思う。

自分でも。

さっきと言っていることがあべこべだ。


彼女を傷つけるのは嫌というくせに、どうしようもなく、彼女といたいと心が詠う。


窓から少し強い風が吹いたのと、カーテン越しに声が聞こえたのは同時だった。


「せんせ...起きました」

ドキッ────
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