ココロユクエ
『……おまえこそ、何?男漁り?』
『やだ、違うもん!…人数合わせで……
連れてこられて…』
さすがに声をひそめて言う。
『…実は、俺も。』
しょーたも小さな声で言った。
『久しぶりだな、羽菜
相変わらずボケてんな、ここ着いて俺は
すぐ気付いてんのに、名前呼んでも
寝てるし?』
『やだ、寝てないよ』
『頭つっつくまで、ずっとサラダ
凝視してたぞ、何だ?食いたいの?』
『……いらない。』
…だってツバが…
さっきの男、いつの間にか、しょーたの右の席にずれている。ちょっと安心した。
私の目線に気付いたのか、
『…あぁ、そっか』
しょーたが言った。
『えっ何?しょーちゃん』
しょーたは口の前で、手をヒラヒラ動かして、口をパクパク動かした。
(ツバ、すごいだろ?)
思わず、首をぶんぶんさせて頷く。
しょーたはまた、ククッと笑った。
『……変わらないなぁ、羽菜。
お前のその仏頂面、ホント相変わらずで
笑えるよ』
『しょーただって…』
そう言いながら、しょーたを見ると………違う…明らかに、学生の時と雰囲気が。
『お前の、その不機嫌な時の顔、本当に
「不機嫌です」って書いてあるような顔
なんだもんな』
笑い過ぎ、しょーた。
『……しょーちゃんは、なんか変わった』
『え?何?俺変わった?どうゆー風に?』
……あかぬけた、何か、かっこよくなってる……
『……?何?どーなの?イケてる??
……オイオイ、そんなに見つめんなよ〜
羽菜〜』
『ち、違うもん!……何か、雰囲気
変わったっぽい…』
『まぁまぁまぁい〜よ。
ごまかさなくても。
改めて惚れ直されても、俺、困るしな』
『……「改めて」って何?何言ってンの!
このばかしょーた!』
ハハハッて。歯を見せて笑う。
喋り方とか表情とか、そのまんまなんだけどなぁ。
でも、髪型とか服装とか変わってるし、学生の頃の見慣れたラフな格好じゃないから…って訳でもないのだ。
……何でなんだろう??