ココロユクエ
 


『…ねぇ、しょーたは今、どんな仕事
 してるの?』

『うん?仕事??営業。』

『えっ営業?しょーた、営業なの?』

『そーだよ。
 大体、今日のメンバー皆、営業課だって
 言ってたハズだけど??』

…言ってたかもだけど、あまり聞いてなかったし…

『でも、しょーちゃん、「開発」とか
 「設計」やりたいって言ってたから…』

『よく覚えてンじゃん、羽菜。
 一応、希望は出してあるよ。でも
 そんな入社二、三年ですぐに希望通りの
 配属にはならないだろ??』

それは、その通りだね…

『でも、俺、結構、頑張ってんだ。
「営業」って大変だけど、なかなか
 奥が深いよ』

『…「営業」って、すごく歩きまわるの?』

『営業にまわる事もあるけど、うちは
 営業所にお客さん来て、そこで営業って
 パターンもあるかな』

『しょーちゃん、車の会社だったよね?』

『うん、そうだよ。
 「KAMIYA AUTO」(カミヤ オート)』

『車の販売って事?』

『まぁ…そうだね。それだけじゃないけど。
 今、営業所勤めだから、そういう事も
 関係してるかな。「販売」はちゃんと
 販売専門の担当がいるんだ』

『…そうなんだ。』

『「販売」につなげる為の仕事だよ』

『…楽しい??』

『…そうだなぁ、楽しいとは、
 言い切れないけど、考えていたよりは
 楽しくなってきた所。初めはホント、
 キツいだけだったけど、最近、俺
 やっと成績出てきたんだ。』

『そっか、「営業」だと「成績」が
 あるんだね。』

『ホント初めはさ、いくら何やっても、
 全然ダメでさ…』

何だか、しょーたがすごく一生懸命話してる。…そーだね、しょーたは学生の頃から、ちゃんと真面目に話する人だったな。

『営業所の所長にも、怒られっぱなし
 だった。』

『所長サン、コワイの?』

『まぁ、成績あがんなかった訳だし。
 それに、怒ってるだけじゃなくて、
 むしろ、指導、監督して奮起させようっ
 て感じだよ。』

『そうなんだ。』

『俺の上司のその所長さ、実は女の人なんだ。』

『え、女性の所長サンなんだっ』


 
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