ココロユクエ
そこで、もう一度、しょーたはお酒を、グイッと飲んだ。
『所長怒るのは、ちゃんと理由があるよ。
俺らの事、ちゃんと見てるから、的確な
注意ができるんだよな。それわかって
から、俺も「営業」って仕事の考え方
変わったと思う。やっぱり「営業」も
人と人の繋がりだなぁって。』
私も、やっと、グラスのお酒を一口飲んだ。
『仕事用の車でも、家庭用の車でも、
その人以外に、のる人達、のせる人達が
沢山いるんだって、気付いたんだ。』
しょーた、仕事の話しながら、笑ってる。何だか、キラキラしてる…
『それを考えて仕事するようになってから
少しずつだけど、成果が出るように
なってきたんだ。それまでは、自分の
好きな車の事ばかり、考えてたように
思うよ。マシンの事ばかり研究して
詳しくなってた。でも、それだけじゃ
駄目だったんだ。』
『…しょーちゃん、すごいねぇ。
…えらいなぁ…』
『やっぱり成果が出てくると、嬉しいし。
頑張って続けてたら、前に進んで行ける
もんな。やっぱり、いつかは「開発」に
行きたいって思ってるし。』
しょーたはお酒を飲んで、飲み切った。そして、新しいの追加してる。「黒ビール」って言ってる…そうだね、黒ビール好きだったね、しょーた。
私も、ちょびちょびお酒を飲んだ。お酒嫌いじゃないけど、そんなに強い訳じゃない。
しょーたは大変だけど、仕事、充実してるんだね。何か、いいなぁ、羨ましいって思った。
『……で、羽菜は?どんな仕事してる?』
『えっあっ私?私は……一応、「編集部」
にはいるけど……』
『おっ「編集」?!ちゃんと希望の部署に
いるんだな。良かったな。』
『しょーちゃん所みたいに、おっきな会社
じゃないし、希望部署には大体すぐ
入れるけど、私はまだ、全然、雑用係
だもん。コピーとかファイリングとか、
誤字脱字チェックとか。皆の仕事の
補助の補助だよ……「編集」にいるって
だけ…』
『…それを、続けてたら、その内、新しい
仕事も頼まれるんじゃないのか??』