ココロユクエ
『…お二人さん。話盛り上がってる所
悪いんだけどさ、この店、時間なんだ
よねぇ。店出るよぉ』
ツバ男が言った。
もぉそんな時間?二人で喋ってたら、あっという間だった。
『行くか』
二人で、店を出た。
店を入る時は、まだ何も点いてなかった街灯が全部点いてて、キラキラした街並に変わっていた。
『じゃあ、二次会はカラオケだから〜
俺にみんなついてきてよぉ』
相変わらずなテンションのツバ男。
カラオケかぁ。あまり仲良くないメンバーと行っても、気を遣うだけで楽しめないんだよね…もう、帰ろうかな。
チラと横を見ると、しょーたが大アクビをしていた。
『やだ、しょーちゃん大っきな口〜』
『最近、ずっと帰り遅くてサ、あまり
寝てないんだよね。……羽菜、行く?
カラオケ』
『ううん、帰るよ、ワタシ』
ぷるぷると首をふる。
『眠いし俺も帰るよ。』
カラオケに向かう皆と逆の方向の、駅に向かって、二人で歩き始めた。
『…今日は合コン来て良かったよ。
はじめは帰ろうかと思ったんだけど
しょーちゃんに会えたもん。』
『俺も久しぶりに会えて良かったよ。
でもなぁ羽菜、お前、あの不機嫌顔
やめた方がいいぞ。わかりやす過ぎ。
社会人としてはアウトだろ?』
『うん。そだね。ホントだね。』
てくてくと二人で歩いていく。
『あ、そーだ。お前ン所、届いた?
結婚式の招待状、一之と美幸の』
『来たよ来たよ〜ついにだね、
ユキユキコンビ、ついに結婚だね。』
サークル仲間の二人の門出だ。
『…お祝いって、俺、何したらいいか
全然わかんねー。なぁ一緒に買いに
行かね?』
『…そだね。一緒の方がいいもの
買えるしね。』
『羽菜、いつ空いてる?俺、来週の土日
はダメなんだよ。』
『再来週の日曜なら、ワタシ大丈夫。』
『じゃあ、来週の日曜な。二時頃に
羽菜ン家、迎えに行くよ、車で。』
『え!駅でいいよ?』
『久しぶりに、愛理サンにも
会いたい訳さ。』
『お姉ちゃんね。そっか。きっと喜ぶよ。
』