ココロユクエ
少し遅めのランチで、カジュアルなイタリアンレストランに入った。
「ペアランチ」というメニューを選んだ。
前菜と、パスタとピザとデザートを、それぞれ選ぶものだった。
トマトソースのパスタを取り分けながら、カレンが言った。
『映画観てて、プレゼント思いついたわ。』
『…もしかして、バラの花束?』
『そう!ステキだと思って。花束なんて
なかなか貰えないもの。でも、バラ
じゃなくて、他の花がいいなぁ』
『何の花?』
『う〜ん、そうね、すぐには
思いつかないなぁ。
ねぇ、花屋さんに行こ』
『花かぁ。いいね。確かになかなか
買わないけど、記念のプレゼント
らしくて、特別な感じがするよ。』
『ふふ。どんな花がいいかな。
ガーベラもかわいいし…』
『僕は全然、花の種類は分からないよ。
バラとか菊とか、チューリップとか?』
『わたしだって、そんなに知らないよ。
…うん、このパスタ、おいしいね。
せー君、そのピザどお?』
『おいしいよ。この緑のの味がきいてる。』
『…バジルのこと?』
二人で笑いながら、ランチを過ごした。
そして、花屋に向かった。
『わぁ、色んな花あるね。
目移りしちゃう。』
本当に沢山の花がある。バラと名の付くモノでも何種類もあった。菊というと、仏壇に飾る白や黄色の花だと思っていたが、黄緑色やとてもモダンなモノがあった。
この沢山の花の中から、カレンは一体どんな花を選ぶのだろう。
『決めたわ。せー君。これにする』
カレンの指差す先には、白い、すらりとした花があった。
名前をみると「カラー」と書いてある。
『この花がいいの』
微笑むカレン。
「カラー」という、すらりとした花は、白い布をくるりと巻いたような、とても清楚な花だった。
『へぇ、「カラー」ステキな花だね。
初めて見たよ。
…こちらの花、お願いします。』
店員さんを呼び止める。
『他の花も合わせて花束にされますか?』
『いえ、カラーだけの花束にしたいなぁ。
お願いします。』