ココロユクエ
§4. ステップス
今日は会議の日。毎週の初めに開かれる、編集部員全員での、話し合い。大まかなスケジュール確認でもある会議。

私は……とっても、サビシイ時間帯。

結構、議論が飛び交って、なかなか、白熱したりもする会議なのですが。


目下、私は、お茶くみ、ホワイトボード消し、資料配り……やる事はそれなりにいっぱいあるけど…雑用として。


私が何か発言する事は無くて。全く意見が無い訳じゃないけど、先ず、意見を求められる事が無いし。

私が自ら、手を挙げて、意見できる雰囲気じゃなくて……

その場の状況に圧倒されながら、皆に何か言われればそれに応じて雑事をパタパタしている。


忙しいけど、サビシいのだ。




今日は、うちで出してる女性誌が議題。

季節の変わり目で、刷新されるコーナーがいくつかある。

その検討が主だ。




山元サンが、いつもより少し大きめの声で、意見している。

『…ですから、今季よりの新しいエッセイ
 では、私は、「女性が憧れるハンサムな
 生き方をする女性」をテーマに挙げたい
 です。』

『「ハンサム」ぅ??何だ、それ?
 キャリア女の事か?』
と課長。

山元サンの意見、あまり気に入らないみたい。


『仕事に対する姿勢だけを表しているでは
 ありません。外見だけでなく、その人の
 生活スタイル、ものの考え方にも美しさ
 が顕れているような…』


『…何か、格好良い言い方してるけどさ、
 結局、ある程度、歳は食ってて、地位を
 確立してる女になるだろ?前とどう違う
 っての??一緒だろう。』

課長の意見は厳しい。


『え〜それでですね……前は、数回毎に、
 書いてもらう人を変えました。それを
 固定にして…』


『単独一人の長期連載のエッセイな訳?
 つかまるかぁ??うちみたいな所が。
 大体、長期にして、コケずに耐えられる
 アテはあるのか?』

課長の真っ向からの否定体制で、山元サンの意見、通りそうも無いよ…

そんなに悪いと思わないんだけどな。


課長の態度のせいか、他の皆も意見しにくい雰囲気になってしまっている。




 





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