御曹司様の求愛から逃れられません!
とりあえずソファから飛び起きて、今の格好とか髪型とか、ストッキングに穴が開いていないかを一通り確認する。
それなりに整った身なりだと確認できた後で、そもそもこの誘いを受けるか受けないか、を考え出した。

明日は出勤日で、今はもう七時半。いや、私はいつも日付が変わってから寝てるし時間は問題ないけど。
でも、相手は本部長だよ?気軽に飲みに行っていいの?それとも逆に、断ったら失礼なのかな。

だいたい、飲みに行くってどういうこと?ふたりで?
相変わらず、情報が少なすぎるというか……。

震えながら、返信欄に【お疲れさまです。ふたりでですか?】という文章を作ったが、それを送信する前にまた端末がブルッと震え、彼からの新たなメッセージがポンと更新された。

【恵比寿にいるんだろ。もう駅着くから、来て】

なんで私の最寄り駅知ってるの!

このまま時間が経てば彼はこのマンションまで来てしまう気がして、私は慌ててハンガーにかけていたジャケットを着直し、バックを肩にかけた。

ダメだ、彼は決めたら必ず実行する。誘っているようで、これはもう強制なのだ。私に選択権はない。
今日はもう、本部長と恵比寿で飲む。決定事項だ。
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