御曹司様の求愛から逃れられません!
「迷ってるみたいだから。そんなんじゃ、真夏が今日楽しめないだろ。いいよ、忘れて」
いやいや、忘れて、と言われましても……。
しかし「いえ大丈夫です」とはとても言えず、何も答えることはできなかった。それは返事を先送りにすることに賛同したのと何ら変わらない。結局、甘えてしまっている。
絢人さんは少し窓を開けて、風を中に入れた。
髪型が崩れることなど全く気にせず、涼しそうに目を細めている。
何を考えているのか読み取ろうと彼の顔色を伺っていると、その視線に気づいた彼は笑顔を向けてきた。
「どうした、気にしてんのか?」
「……だって……」
「大丈夫。帰国して真夏に会えただけで、結構満たされてるから。期限を付けたけど、俺は真夏に白黒はっきりさせてほしいとは思ってない。ただ良い返事が欲しいだけなんだ。だから貰えるのが悪い返事なら、曖昧なまま悩み続けてほしい。ごめんな、お前と早く恋人になりたくて、俺が焦りすぎた。……迷って断られるくらいなら、返事なんてくれなくていいから」
爽やかな風の中、なんとも切なくなることを言う絢人さんに、私はじわりと目元が潤んだ。
バックミラーの樫木さんも、絢人さんに共感して泣きそうになっている。
式場へ着くまでの間、その後も絢人さんはとりとめのない話をしてくれた。
申し訳なさを感じつつも、私はそんな彼にずっと甘えていた。
いやいや、忘れて、と言われましても……。
しかし「いえ大丈夫です」とはとても言えず、何も答えることはできなかった。それは返事を先送りにすることに賛同したのと何ら変わらない。結局、甘えてしまっている。
絢人さんは少し窓を開けて、風を中に入れた。
髪型が崩れることなど全く気にせず、涼しそうに目を細めている。
何を考えているのか読み取ろうと彼の顔色を伺っていると、その視線に気づいた彼は笑顔を向けてきた。
「どうした、気にしてんのか?」
「……だって……」
「大丈夫。帰国して真夏に会えただけで、結構満たされてるから。期限を付けたけど、俺は真夏に白黒はっきりさせてほしいとは思ってない。ただ良い返事が欲しいだけなんだ。だから貰えるのが悪い返事なら、曖昧なまま悩み続けてほしい。ごめんな、お前と早く恋人になりたくて、俺が焦りすぎた。……迷って断られるくらいなら、返事なんてくれなくていいから」
爽やかな風の中、なんとも切なくなることを言う絢人さんに、私はじわりと目元が潤んだ。
バックミラーの樫木さんも、絢人さんに共感して泣きそうになっている。
式場へ着くまでの間、その後も絢人さんはとりとめのない話をしてくれた。
申し訳なさを感じつつも、私はそんな彼にずっと甘えていた。