御曹司様の求愛から逃れられません!
お色直しを終え、早織さんはパステルグリーンの爽やかなドレスになって戻ってきた。
皆で高砂で写真を撮ってもらい、やりたかったことをひと通りこなして満足すると、私は席で大人しく食事に戻る。

「そうだ絢人。余興のムービー、ごめんね。うちらが集まって撮った後、全部絢人が編集してくれたんだって?」

サトミさんが言った。
絢人さんは白ワインを飲みながら「別にいいよ、撮影行けなかったし」と答えたあとで、「それに、編集は真夏が手伝ってくれたから」と私と目を合わせてくる。

「え、真夏もやってくれたの?ごめんね、大変だったでしょ」

「いえいえ。私はちょこっとお手伝いしただけなので。先輩方は東京から遠いし、絢人さんと会うのは大変ですもんね」

「そうそう、そうなんだよ」

調子よく相づちを入れてきた亮太さんを絢人さんが睨み、「お前は少し反省しろ」と文句を言った。

あのムービーは、絢人さん以外まだ誰も見たことがない。切り貼りを手伝った私ですら、きちんと通しでは確認していないのだ。
一体どんなふうに仕上がっているのだろう。楽しみだ。
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