御曹司様の求愛から逃れられません!
8.御曹司様の恋人
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お城の式場から離れても、敷地内には緑の生い茂るガーデンテラスが続いていた。駐車場とは反対側のその場所には、今は私たちしかいない。
色とりどりのバラが咲く静かな庭園に着くと、絢人さんは私を下ろした。ヒールの足がふらりとよろけたので、彼の腕に掴まって歩く。
「絢人さん……皆さんと飲みに行かなくて良かったんですか?」
「いいよ。あいつらとはこれからいつでも会えるから」
絢人さんの答えに首を傾げた。だってそれを言うなら、私とはいつでも会える、が正しいんじゃないかな?
「今日の真夏は、お姫様みたいで可愛いよ。……今日しか独り占めできないだろ」
キュッと握った手に、絢人さんは王子様みたいに口を付けた。彼にお姫様扱いされるたび、心臓が飛び出そうになる。
私の心を何度も揺るがしてくる。もうすでに彼の独占状態だということを、気づかれていないだろうか。
熱くなりながら手の甲へのキスを受け入れた私を見つめ、絢人さんはさらに押してくる。腰を引き寄せ、頬に手をあててきた。
「……今日の結婚式。早織には悪いけど、真夏のことしか考えてなかった。真夏が花嫁だったら、って」
額をくっつけられながらそんなことを言われ、私は目を閉じた。
バラの香りがする済んだ空気も、絢人さんの腕の中も心地よくて、眠り姫のように落ちてしまいそうになる。
ぼんやりと、もう一度告白をされているのだと分かった。返事を急かされてはいないけど、返事をしなければならない気がした。
私の気持ちは傾きつつある。大学時代の自分を見て、絢人さんがいることでどれほど笑顔でいられたかを自覚したのだ。
お城の式場から離れても、敷地内には緑の生い茂るガーデンテラスが続いていた。駐車場とは反対側のその場所には、今は私たちしかいない。
色とりどりのバラが咲く静かな庭園に着くと、絢人さんは私を下ろした。ヒールの足がふらりとよろけたので、彼の腕に掴まって歩く。
「絢人さん……皆さんと飲みに行かなくて良かったんですか?」
「いいよ。あいつらとはこれからいつでも会えるから」
絢人さんの答えに首を傾げた。だってそれを言うなら、私とはいつでも会える、が正しいんじゃないかな?
「今日の真夏は、お姫様みたいで可愛いよ。……今日しか独り占めできないだろ」
キュッと握った手に、絢人さんは王子様みたいに口を付けた。彼にお姫様扱いされるたび、心臓が飛び出そうになる。
私の心を何度も揺るがしてくる。もうすでに彼の独占状態だということを、気づかれていないだろうか。
熱くなりながら手の甲へのキスを受け入れた私を見つめ、絢人さんはさらに押してくる。腰を引き寄せ、頬に手をあててきた。
「……今日の結婚式。早織には悪いけど、真夏のことしか考えてなかった。真夏が花嫁だったら、って」
額をくっつけられながらそんなことを言われ、私は目を閉じた。
バラの香りがする済んだ空気も、絢人さんの腕の中も心地よくて、眠り姫のように落ちてしまいそうになる。
ぼんやりと、もう一度告白をされているのだと分かった。返事を急かされてはいないけど、返事をしなければならない気がした。
私の気持ちは傾きつつある。大学時代の自分を見て、絢人さんがいることでどれほど笑顔でいられたかを自覚したのだ。