御曹司様の求愛から逃れられません!
社長さんズの勢いにさすがの絢人さんも押され始め、画面から三十センチほど顔を離した。するとそのふたりの枠を押し退けて樫木さんの画面が大きく割り込んできて、絢人さんに向かってこそこそと話し始める。
『ご覧のとおり、今東京に帰れば質問攻めで大変ですよ。本日は帰らない方がよろしいでしょう』
「そうは言ってもな……」
『僕のほうでロイヤルズホテルの最上階、スイートルームを抑えておきました。本日はそちらに園川さんとお泊まりください。……おめでとうございます。良かったですね、志岐本部長』
どや顔の樫木さん。誉めて、と言わんばかりだ。
絢人さんは目をパチクリさせて、私を見た。私も口を開けたまま、彼を見る。
彼の瞳が真剣に揺れたので、私は少し視線をずらしながら、ゆっくり頷くと、彼はフッと笑みを落とす。
「サンキュー樫木!愛してるぜ!」
電話に向かって絢人さんがそう叫ぶと、『え!?志岐本部長!!今っ』と樫木さんが真っ赤な顔で慌てたのを最後に、ブッツリとテレビ電話は切れた。
絢人さんはすぐに、もう一度私を抱きしめた。これで本当に、私は絢人さんの恋人だ。もう何も怖くない。
ちょうど式場のベルが鳴った。風が咲き誇るバラを揺らしている。
まるで結ばれた私たちを祝福しているようだった。
『ご覧のとおり、今東京に帰れば質問攻めで大変ですよ。本日は帰らない方がよろしいでしょう』
「そうは言ってもな……」
『僕のほうでロイヤルズホテルの最上階、スイートルームを抑えておきました。本日はそちらに園川さんとお泊まりください。……おめでとうございます。良かったですね、志岐本部長』
どや顔の樫木さん。誉めて、と言わんばかりだ。
絢人さんは目をパチクリさせて、私を見た。私も口を開けたまま、彼を見る。
彼の瞳が真剣に揺れたので、私は少し視線をずらしながら、ゆっくり頷くと、彼はフッと笑みを落とす。
「サンキュー樫木!愛してるぜ!」
電話に向かって絢人さんがそう叫ぶと、『え!?志岐本部長!!今っ』と樫木さんが真っ赤な顔で慌てたのを最後に、ブッツリとテレビ電話は切れた。
絢人さんはすぐに、もう一度私を抱きしめた。これで本当に、私は絢人さんの恋人だ。もう何も怖くない。
ちょうど式場のベルが鳴った。風が咲き誇るバラを揺らしている。
まるで結ばれた私たちを祝福しているようだった。