御曹司様の求愛から逃れられません!
彼のふたつの手がしなやかに動くのを見ながら、改めて、絢人さんがどのくらい凄い人物なのかを肌で感じていた。
昔とはもう違う。そりゃ、大学時代から勉強もスポーツもできて人気者だったけど……今はもう、“本物”って感じで。
赤くなったワイングラスをひとつ私の前へ寄せた絢人さんは、自分はもう片方のグラスの茎の部分を持ち上げ、手に取った。
「さて、と」
「……えっ」
彼は突然、グラスを持ったまま、思いきりこちらへ距離を詰めてきた。
それはもう距離が近いなんてものではなく、絢人さんの片側と私の片側がピッタリと密着し、ソファの背もたれに回した彼の腕の中に、私がすっぽりと収まっているほど。
そして顔を落とし、私を下から覗き込むようにしてグラスを近づけると、「乾杯」と少し低い声で囁くのだった。
「は、はい……」
彼とのグラスが、チン、と上品な音を鳴らした。唇についた少量だけを味わうと、芳醇な香りがし、濃い味がぶわっと口の中に広がっていく。
お店で飲み過ぎたのか、この雰囲気に酔っているのか、頭がポーッと熱くなった。
昔とはもう違う。そりゃ、大学時代から勉強もスポーツもできて人気者だったけど……今はもう、“本物”って感じで。
赤くなったワイングラスをひとつ私の前へ寄せた絢人さんは、自分はもう片方のグラスの茎の部分を持ち上げ、手に取った。
「さて、と」
「……えっ」
彼は突然、グラスを持ったまま、思いきりこちらへ距離を詰めてきた。
それはもう距離が近いなんてものではなく、絢人さんの片側と私の片側がピッタリと密着し、ソファの背もたれに回した彼の腕の中に、私がすっぽりと収まっているほど。
そして顔を落とし、私を下から覗き込むようにしてグラスを近づけると、「乾杯」と少し低い声で囁くのだった。
「は、はい……」
彼とのグラスが、チン、と上品な音を鳴らした。唇についた少量だけを味わうと、芳醇な香りがし、濃い味がぶわっと口の中に広がっていく。
お店で飲み過ぎたのか、この雰囲気に酔っているのか、頭がポーッと熱くなった。