御曹司様の求愛から逃れられません!
「だってあれは……冗談、ですよね」

「どうして俺の告白を勝手に冗談にする」

「だって、普通そういうの直接顔見て言うものだし、メッセージだったから軽いものだと……」

「証拠に残さないと逃げられそうだったから。お前は平気で聞かなかったフリとかするからな。まさか無視されるとは思ってなかったけど」

私はあのメッセージに、【久しぶりに会えることを楽しみにしています】としか返信しなかった。
無視したわけじゃない……。絢人さんは天然で女性を惹き付ける人だから、本気で受け止めたら痛い目を見るんじゃないかって思ったのだ。

絢人さんが私のことを好きだなんてとても信じられない。というか、面と向かって言われた今も、信じてはいない。

「真夏のこと好きだよ。ずっと前から」

「ずっと前って……?」

「んー?大学んときから。とにかくずっとだ、ずっと。俺の中でずっと真夏が一番なの。……なあ、そろそろキスしていい?」

体温が上がりきった体では抵抗できなかった。それに大学時代は見慣れていても、この人は極上の男というにふさわしい見た目をしている。真剣な顔で求愛されれば、とても抗えない。

“キスしていい?”という申し出に何か返事をすることはなかったけれど、拒否できない私に彼はフッと笑みを落としながら、残り数センチの距離を埋めてきた。
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