御曹司様の求愛から逃れられません!
3.御曹司様と補佐
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朝から忙しく営業計画の進捗状況をまとめ、お昼前の会議に持ち込んだ。会議が終わったのは午後一時半。
今日の仕事の山場が過ぎ、一階の社員食堂で日野さんとランチの時間をとることに。彼女はハーブチキン定食、私はボロネーゼドリアを注文した。

「大学時代の本部長はどうだったの?仲良かったんでしょ?好きだって思ったことないの?」

私がドリアを一口食べたとたん、彼女の本部長についての質問攻めが始まった。私の方はしばらく彼の話はしたくないのに、困ったものだ。

「仲良かったというか、一緒にいる時間が長かっただけだよ。同じサークルの役員だったから。おまけに絢……本部長の思い付くことって、真新しくて変わってることばっかりでさ。綿密に計画して、打ち合わせして……そういう細かいことを任されてたから、忙しくて恋愛対象として見てる余裕なかったんだよね」

「そう?忙しくても、好きだと思えば好きになるものじゃない?」

「もちろん、すごい人だとは思ってたよ。でもすごすぎて、そういうことは想像すらできなかった。……きっと恋人もたくさんいたんじゃないかな。半端じゃないくらいモテるし。……あんまりそういう話オープンにしない人だったから、知らないけど」

そうだ……昔は彼の恋愛関係は謎に包まれていたけど、実態はあんなに乱れていたなんて、知らなかった。
あんなに簡単に「愛してる」なんて嘘ついて……。

思い出しながら悔しくなって、ドリアの味がしなくなってきた。
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