御曹司様の求愛から逃れられません!
私は電話を承諾する前に、チェストの引き出しから封筒を取り出し、手もとに準備した。
この白い封筒は一ヶ月前に早織さんから送られてきたもので、来月の結婚式への招待状が入っている。送られてきてすぐに出席のハガキを出したから、きっとその件だろう。
整うと、ベッドに腰掛け、私から電話をかけた。
「あ、早織さんですか?真夏です」
『電話ごめんね〜、結婚式の返事ありがとう』
おっとりとした早織さんの声がラジオのように聞こえてきた。
「いえ。ご招待ありがとうございます。すごく楽しみです」
早織さんは卒業しても連絡をとっている唯一の先輩だ。 大学の友人には“食品関係”としか話していない私の就職先のことも、彼女にだけは詳しく明かしている。
彼女は私や絢人さんと同じイベントサークルのメンバーで、当時の副会長。絢人さんに続くナンバーツーということだ。
庶務をしていたひとつ年下の私とも、役員同士ということでとても仲良くしてくれた。卒業しても数回、都内で会ってご飯に行っている。
『披露宴のテーブル席のことなんだけど、不安だろうから一応言っておこうかと思って。私の代のメンバーは八人呼んでるけど、下の代の子は真夏ひとりなの』
「えっ、あ、そうなんですか」
『うん。それで、年上ばっかりで話しにくいかなと思って、真夏の席は役員だけ集めたテーブルにしたから。その方がいいよね?』
「ああ〜、そうですね。役員の先輩方は絡むこと多かったですから、そうしていただけるとありがたいです。……えーと、そうすると同じテーブルの先輩方は……」
『会長の絢人と、会計の亮太、書記のサトミと、真夏。四人席ね』
「………ん?」
封筒をいじっていた手が止まった。
この白い封筒は一ヶ月前に早織さんから送られてきたもので、来月の結婚式への招待状が入っている。送られてきてすぐに出席のハガキを出したから、きっとその件だろう。
整うと、ベッドに腰掛け、私から電話をかけた。
「あ、早織さんですか?真夏です」
『電話ごめんね〜、結婚式の返事ありがとう』
おっとりとした早織さんの声がラジオのように聞こえてきた。
「いえ。ご招待ありがとうございます。すごく楽しみです」
早織さんは卒業しても連絡をとっている唯一の先輩だ。 大学の友人には“食品関係”としか話していない私の就職先のことも、彼女にだけは詳しく明かしている。
彼女は私や絢人さんと同じイベントサークルのメンバーで、当時の副会長。絢人さんに続くナンバーツーということだ。
庶務をしていたひとつ年下の私とも、役員同士ということでとても仲良くしてくれた。卒業しても数回、都内で会ってご飯に行っている。
『披露宴のテーブル席のことなんだけど、不安だろうから一応言っておこうかと思って。私の代のメンバーは八人呼んでるけど、下の代の子は真夏ひとりなの』
「えっ、あ、そうなんですか」
『うん。それで、年上ばっかりで話しにくいかなと思って、真夏の席は役員だけ集めたテーブルにしたから。その方がいいよね?』
「ああ〜、そうですね。役員の先輩方は絡むこと多かったですから、そうしていただけるとありがたいです。……えーと、そうすると同じテーブルの先輩方は……」
『会長の絢人と、会計の亮太、書記のサトミと、真夏。四人席ね』
「………ん?」
封筒をいじっていた手が止まった。