意地悪な佐伯くんが甘くなる。







「そういう佐伯くんこそ彼女いないじゃん?」



何故か佐伯くんには彼女がいない。



あれだけ女の子から言い寄られてるくせに、彼女を作らないのはなんでだろう…。



「俺が彼女作ったら周りの女が泣き喚くだろ?だから作んなくていーの。」



…なんだそりゃ、なんてツッコミを入れたくなる答えだったけど、敢えてスルーしよう。



「先輩のくせにスルーとかひでぇ。」



「くせに、ってなにそれ!ただ佐伯くんの答えに呆れただけだから。」



「はいはいそーですかー。」



…今完全に棒読みだった。



私の言葉を全く気にしてないのか。





「ねえ先輩、片付け手伝う。」



「…毎日懲りないね。」



私は部員みんなが帰った後でゼッケンを洗ったり記録をノートにまとめたりする。



でも何故か毎日のように佐伯くんは帰らず残って私の手伝いをすると言い張る。



そして毎日のように断っているのだが、何度言っても折れてくれないので、私が折れるしかない状況になっている。






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