俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「上」
俺が生まれた時から、この世界は戦争をしていた。

戦場へ行き傷ついて帰ってくる軍人の姿を、子どもの頃何度も見たことがあった。その度に、自分もいつか武器を持ち戦わなければならないのかと思い、怖くなった。

目を閉じれば今も、血で染まった包帯を傷に巻いた兵士が浮かぶ。

俺は吐き気がして、手で口を覆った。

頰に外の冷たい風が当たる。誰かが交番にやって来たのだ。

「どうしましたか?」

デスクワークをしていたレムが顔を上げ、言う。また事件が起こったのだろうか?

「……リーバス・ヴィンヘルムはいるか?」

入って来たのは高級なスーツに身を包んだ初老の男性だった。貴族だろうか?しかし、なぜ俺の名前を知っているのだろう?

「この交番に勤務していると聞いたのだが……」

「リーバスは私です」

俺は慌てて男性に言った。男性はじっと俺を見つめ、驚く。

「なぜ、この男を選んだんだ……」

呟かれたその台詞に混乱する。なぜ初対面の人にこんなことを言われなければならないのか。たとえ、貴族だろうが言っていいことと悪いことがある。

「あの、なぜそのようなことを?失礼だとは思いませんか?」
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