俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「上」
そう言うリリーの表情が、リリーの体温が、俺の胸を高鳴らせる。また、不思議な感覚があふれる。

「そろそろ行こう。…立てるか?」

俺が訊ねると、リリーは「手足、しびれちゃって……」と申し訳なさそうに首を横に振った。

「……そうか。失礼するぞ?」

「えっ?」

俺はリリーの体の下側から肩と膝を抱き抱え、ゆっくりと持ち上げた。

「えっ?リーバス!?」

横抱きにされ、驚くリリーを見るのが嬉しいと思う自分がいた。

二人きりの空間、リリーを一人占めできるのが嬉しい。屋敷の中に行かなければならないのだが、このまま森の中を散歩したいとも思った。

「リーバス!恥ずかしい……」

リリーが真っ赤な顔で俺を見る。その顔もきれいだと思った。

「手足がしびれているのなら、心配だ。落としたら大変だから、暴れるなよ?」

俺が笑いかけると、リリーは黙り俺の首に腕を回した。その細さに、俺の体が熱くなる。

俺はリリーを横抱きにしたまま、扉の前に立ち、「すまない!!開けてくれないか!!」と大声で言った。リリーを抱いたままではドアは開けることなどできない。
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