俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「上」
淡いピンク色をしたソファにリリーを座らせ、リリーの顔をじっと見つめる。

俺から解放されたことに安堵したような表情のリリーの顔は、まるでりんごのように赤い。俺の体も熱くなる。

「……大丈夫か?」

恐る恐る訊ねると、リリーは無言で頷く。

俺は「なら、いい」と言い、部屋を後にした。

リリーの部屋の扉を後ろ手で閉める。胸の高鳴りが収まらなかった。



二時間ほど与えられた部屋で休み、夕食の時間になり俺はスーツに着替えて部屋を出た。

リリーのいる隣室が気になったが、部屋で休んでいる間も今も部屋からは物音一つ聞こえない。

先に行っているのかと思い、俺は夕食を食べる一階へと向かった。

広間に行くと、俺の足がつい止まってしまった。

長いテーブルの上には、庶民が口にすることはおろか、見たことのない料理が並んでいる。どれも高級食材で作られたものだ。

アレックスはよだれを垂らしながら目を輝かせて料理を見つめ、それをジャックが注意している。

広間を見渡すが、リリーの姿はどこにもない。
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