俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「上」
「ありがとう」

リリーは目に涙を浮かべていた。そして、ゆっくりとスープを口にする。

「……おいしい!」

リリーは、体調が優れないとは思えないほどの勢いでスープを飲み干した。

それに俺と小町は驚いたが、安心もした。



リリーは屋敷では部屋から一歩も外に出ず、朝食や夕食なども食べに来ない。

俺たちはリリーが食べないことに心配したが、リリーはどうやら観光に行った先で夕食や朝食を買っているようだ。

「ラス国のご飯っておいしいね〜!このパンとっても好き!!」

部屋で紅茶を楽しみながら言っているリリーを見て、心配した俺たちが呆れるほどだった。

リリーはあれから過呼吸は起こしていない。過呼吸になった理由をリリーに訊ねたが、本人もわからないと言っていた。

慣れない環境なので体が混乱したのだろう、と屋敷に住んでいる医師はリリーに言っていた。



オペラの開演までまだ少し時間がある。しかし、席はほとんど埋まっている。

フローレンスは、この国では有名なプリマドンナなのだと街の人が言っていた。たしかにフローレンスは歌が上手く、容姿も整っている。観客を一瞬で虜にするのだろう。
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